はじめに
近年、インド経済に対する注目が急速に高まっています。インドは世界で最も人口の多い国です※1。その経済成長のスピードや将来的なポテンシャルにおいて、多くの投資家の関心を引きつけています※2。インドの株式市場は、急成長する中間層の需要や、グローバルな投資家の参入によって、今後数十年にわたって強い成長を見せると予測されています。
加えて、日本企業はインド進出に高い関心を示しており、インドに進出している企業の80.3%が事業拡大に意欲的です。※3
しかし、インド株への投資やインドビジネスへの進出には、経済や国力、外交などの複雑な要素を深く理解することが重要だと考えています。そこで、本記事では、インドの経済や国力、外交の理解を深めることができる4冊の書籍をご紹介します。
※1 BBC「インド人口、中国抜き世界最多に 今年半ばに14億2860万人」(https://www.bbc.com/japanese/65332263)
※2 日本経済新聞「資金集めるインド株投信 長期・分散を意識して投資」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB16AGO0W5A110C2000000/)
※3 ジェトロ「2024年度 海外進出日系企業実態調査|アジア・オセアニア編」
(https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/2737fbd089afdb85/20240024rev1.pdf)
インドの正体-「未来の大国」の虚と実
「人口世界一」「IT大国」として注目され、西側と価値観を共有する「最大の民主主義国」とも礼賛されるインド。実は、事情通ほど「これほど食えない国はない」と不信感が高い。ロシアと西側との間でふらつき、カーストなど人権を侵害し、自由を弾圧する国を本当に信用していいのか? あまり報じられない陰の部分にメスを入れつつ、キレイ事抜きの実像を検証する。この「厄介な国」とどう付き合うべきか、専門家が前提から問い直す労作。
著者は防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授の伊藤融氏です。伊藤氏はインド外交や南アジアの国際関係に関わる書籍を多数執筆されています。
本書はインドの自由民主主義や、中国に対する姿勢、人口や軍事力・GDPといった国力などについて概観したうえで、日本とインドのパートナーシップ像について論じています。内容は専門的すぎず、インドという国を概観するのに優れた書籍です。
超大国インドのすべてがズバリわかる!
政治、経済、ビジネス、宗教、市場が丸わかり!
中国を超えてインドの時代がやって来た!日本人はインドとどのようにつき合うべきか秘策を伝授!
著者は一般財団法人インド経済研究所理事長の榊原英資氏です。伊藤氏は、IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授などを歴任されています。
本書は、インドの独立からモディ政権の改革までを振り返ったうえで、日本との関わり方や今後のインド経済の展望まで示しています。こちらの書籍もインドの政治、経済、外交といったテーマを包括的に記載しており、入門書として非常におすすめできます。
インド―グローバル・サウスの超大国
人口で中国を抜き世界一に、GDPでも英仏を抜き第5位に。近年では「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国のリーダーとして見られることも増えたインド。複雑化する国際政治のなかで展開する独自外交も注目されている。長くインドを研究する経済学者が、財閥の盛衰やIT産業の強さの理由といったビジネス面から、米・中・ロとの外交の検証、さらには格差問題の現状まで幅広く解説するインド入門書の決定版。
著者は国際基督教大学教養学部上級准教授の近藤正規氏です。近藤氏は、アジア開発銀行、世界銀行等などで勤めたのち、インド経済研究所客員主任研究員などを歴任されています。
こちらの書籍は、インド経済にフォーカスし、財閥や産業、人材、格差などについて包括的に記載されています。インド経済の特徴を把握するうえで非常に重要な書籍です。
図解インド経済大全 全11産業分野(73業界)収録版: 政治・社会・文化から進出実務まで
中国リスクが顕在化する中、新たな製造拠点と市場を模索する動きが強まっている。その中で最も注目を集めるのがインドだ。間もなく人口で中国を上回り、2030年までに日本のGDPも上回ると予測される大国である。しかし長い歴史を持ち、地方主義、民族、宗教、文化が複雑に入り組んだ社会の理解は容易ではない。 本書は、インド研究者、またインドを専門とする実務家ら総勢34人の編者・執筆者が結集し、インド経済と関連する事項を解説する。第1部は経済に陰に陽に影響を与える政治や社会、文化なども幅広くカバー、充実した記述で理解を深められる。第2部は、世界的な産業となったITから、独特の文化を支えるアパレルや飲料・食品などまで11の産業分野(計73業界)について、最新の統計を駆使し、基礎と現状を解説。さらに第3部において、進出実務や税務、また現地の生活や仕事の様子もフォローする。 今村卓氏(丸紅経済研究所長)も「日本企業が知りたい今のインドを描きつつも、直面する課題も率直に指摘することで、その実像を明確にしている」と推薦する、インド経済入門書の決定版!
著者はフリージャーナリストの高口康太氏です。高口氏は、「月刊文藝春秋」「Wedge」「ニューズウィーク日本版」「Newspicks」などに寄稿しているとともに、中国などの新興国に対する書籍を多数発刊されています。
本書の特徴は、インド経済全体に限らず、ITや資源・エネルギー、電機、アパレルなど各産業について解説がなされている点です。より解像度高くインド経済を把握したい方におすすめの書籍です。