はじめに
経済小説のテーマは各種メーカー(自動車など)、コンサルティング、銀行、投資銀行、官僚、商社など非常に多岐にわたります。そうした多数の作品の中から、本記事では、銀行・投資銀行がテーマの経済小説を4作品紹介します。バンカーの方はもちろん、そうでない方にもお勧めできる作品です。
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銀行
金融腐食列島/角川文庫
概要
多数の経済小説を著している高杉良による、銀行を舞台にした長編の経済小説です。第一作目の本作品は1997年初版であり、以降全11冊が発行されている人気作品です。シリーズ冊数も多く、扱っているテーマも固め・重めの重厚長大な作品です。
あらすじ
大手都市銀行にて、主人公である竹中治夫が本社総務部へ移動を命じれられることから物語は始まる。竹中は行内で大きな権力を持つ会長の指示により、スキャンダル隠し、不正融資に手を貸してしまう。これをきっかけに会長サイドや総会屋、右翼などさまざまな人物と対峙することになる。
オレたちバブル入行組/文藝春秋
概要
経済小説に限らず、ミステリーなど多数の著作をもつ三菱銀行出身の池井戸潤による、銀行を舞台にした長編の経済小説であり、ドラマ「半沢直樹」の原作小説です。
あらすじ
大手銀行・大阪西支店融資課長の半沢直樹は、支店長の命令により、強引な融資承認を取り付けた。融資をした直後に対象の会社を倒産してしまう。半沢は債権を回収するために、同期らとともに倒産直後に失踪してしまった社長の行方を追う。
投資銀行
トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て/角川文庫
概要
早稲田大学を卒業後、三和銀行、証券会社、三菱商事に勤めた黒木亮の代表作であり、国際金融を舞台にした重厚長大な作品です。本小説でも国際金融経験・海外経験の長い著者が書いているからこそのリアリティがあります。
あらすじ
都銀・ロンドン支店に勤める今西に、日系自動車メーカーの海外工場建設に関わる巨額の融資案件が持ち掛けられる。米国系投資銀行に勤める龍花と闘い、この案件のトップ・レフト(主幹事証券会社)の立場を獲得するために今西は奔走する。
巨大投資銀行 上・下/角川文庫
概要
上述したトップレフトと同様に、黒木亮の代表作であり、国際金融を舞台にした重厚長大な経済小説でです。上下の2部構成です。投資銀行のビジネスは、業界外からはなかなか見えにくく、理解しにくいところがあると思います。本書では投資銀行の業界理解にも資する1冊です。
あらすじ
日本の都市銀行を退職し、ウォール街の外資系投資銀行・モルガンスペンサーに転職した桂木栄一が本作の主人公。日系企業と外資系企業のビジネススタイルの違いに戸惑いながらも、バブルに沸く日系企業の案件を獲得するなどの成功を通じ、桂木はバンカーとして成長していく。
消費者金融
欲望産業 小説・巨大消費者金融 上・下/角川文庫
概要
金融腐蝕列島と同様に、経済小説の大家、高杉良による作品です。消費者金融をテーマに扱っている経済小説は唯一無二ではないでしょうか。当時の消費者金融業界の企業体質を余すことなく描いています。上・下の2巻構成です。
あらすじ
都市銀行で内部抗争に敗れ、子会社の系列クレジットカード会社へ社長ポジションで出向した大宮紘平が主人公。社内政治により、カード会社社長の地位も危ぶまれていた大宮は消費者金融最大手・冨福の社長にスカウトされ、消費者金融ビジネスに足を踏み入れる。